覚えるのが苦手、読むのが苦手な子にもおすすめ
【子ども版「7回読み」のやり方】
「7回読み」が適した教科は社会や国語、理科の生物や地学の分野です。その他の教科では少しアレンジが必要になります。用意するのは1冊の教本です。小中学生であれば、おすすめは教科書です。さらに、教科によっては、問題集を使います。
次のように声がけしながらやり方を教えてあげてください。「7回読むこと」を基本としていますが、お子さんによっては覚え方、理解度はそれぞれです。お子さんの様子を観察して回数を減らしたり、増やしたりしてみてください。
●1~3回目●内容の輪郭をつかむ。ここで意味がとれなくても気にする必要はありません。
【1回目】章のタイトル、項目ごとの大見出し、中見出しなどを読んでみて。文章の中で太くなっている文字があればそこが重要な場所。そこだけでいいので読んでいきましょう。全体像をつかみます。
【2回目】さらさらと3行飛ばしくらいのイメージで読んでみて。単語やキーワードを覚える感覚で。全体のアウトラインや構造がざっくり頭に入ってきます。まだ理解しようと思わなくていいから、とにかく、文字を眺めてみて。
【3回目】基本的には2回目と同じ。全体をさらさら読んでみて。2回目よりもはっきりとアウトラインが見えてくるはず。
●4~5回目●輪郭線の内側に大まかな内容を描く
【4回目】3回読んで下準備ができたはずだから、1行ずつ普通に読んでみて。頭の中で音読しないのが望ましいけど、最初は音読してもOK。よく出てくる単語を詳しく説明される用語に注目してみて。ただし、理解しよう、覚えようとしなくてもいいから、立ち止まらないで。
【5回目】4回目と同じように読んでみて。意識できるのなら、キーワードとキーワードをつなげるように読んでみて。少し意味が分かってくるでしょう。
●6~7回目●輪郭線の内側の内容を詳細にしていく
【6回目】書かれていることを予測して読んで。どういうことが書かれているかもう分かっているはず。「そう、このキーワードの意味はこうなんだ」「このキーワードとこのキーワードの関係はこうなんだ」など、答え合わせをするような感覚で。
【7回目】可能なら、頭の中で要約しながら、その答え合わせとして読んでみて。まだ頭に入っていない部分があるなら、そこだけをピックアップして読んでみて。これで完璧。
こうやって繰り返して読んでいくと、年号や人名だけ取り出して暗記しなくても、全体のストーリーの流れの中で自然と覚えていけます。本来、テストの出題者も年号を覚えさせたいというより、その流れを理解してほしいと願っているはずです。入試はクイズ番組ではないのですから。
●読む範囲
復習として行うのなら授業単位、模試や定期テストの前なら試験範囲を1単位、入試なら教科書全部を1単位として読んでいきます。
●読む速さ
1~3回目は、読み流すイメージです。今では、私は300ページの本を1回30分程度で読んでしまいます。4回目からは、1行ずつ読むので、速度は遅くなりますが、これも繰り返し読むうちに次第に速くなっていきます。
●繰り返しのタイミング
2回目は記憶が薄れない、1日以内に読むと、記憶の定着がよくなります。厳密にタイミングを決めて、「義務感」で読むのはNGですが、あえていえば、最初の数回は早めにできるのがベストです。たとえば、1日1回のペースで行えば、ちょうど1週間で7回読みを終了できます。1週間をかけてじっくり1回読むより、何回も通読している分、記憶の定着率が断然よくなります。
もう少し時間をかけて行う場合は、3日以内、1週間後など、自分でタイミングを見つけていくとよいと思います。
●マーカーは使わない
マーカーを引くには、重要なところとそうでないところを見極めるセンスが必要です。もし、ポイントをはずしたところにマーカーをしてしまったら、次に読むときにそこに注目してしまいます。何度も読み返す場合、常にまっさらなほうがよいのです。マーカーは頭の中に引きましょう。
●書くことを加えればさらに効果的
テストでは、たいがい書くというアウトプットが必要になるので、6回目から「書く」というアウトプットも組み合わせると、内容を記憶にしっかり刻みこむことができます。読むスピードをなるべく落とさないことも大切なので、キーワードや目についた語句を走り書きしていきます。これは後で見直すためのノートではなく、手を動かして脳に情報を定着させるためのメモ。後で捨ててしまってもかまいません。
ここがポイント!
●基本の教科書の「7回読み」は誰にでもできて効率よい学習法
●「7回読み」は丸暗記ではなく、全体を理解し、要約できる力がつく
引用文献『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』(山口真由著 学研プラス)