5分だけがんばって「やる気スイッチ」オン
「なかなか仕事が始められない」「なかなか勉強がスタートできない」という人は多いと思います。「やる気」が出てから仕事や勉強を始めようと思っていると、いつまで経っても「やる気」は出ないものです。
仕事や勉強を瞬時に始める方法があると、あなたの仕事や勉強はものすごくはかどるに違いありません。そんな夢のような方法が、あります。
それは、「まず始める」ことです。「なかなか始められないから悩んでいるのに!」とツッコミが入りそうですが、残念ながら「まず始める」しかないのです。
冬の寒い日に、車のエンジンを暖める場合、どうしますか? エンジンをかけて、暖機運転、つまりアイドリングをするとエンジンは暖まり、数分でエンジンの調子が上がってきます。車のエンジンをかけない限り、エンジンが暖まることはあり得ません。これとまったく同じことが、脳でもいえるのです。
クレペリン検査で有名な精神科医のクレペリンは、「作業を始めてみると、だんだん気分が盛り上がってきてやる気が出てくる」ことを「作業興奮」と呼びました。今から100年ほど前の話ですが、最近の脳科学では「作業興奮」のメカニズムが判明しています。
脳に「側坐核」という部位があります。脳のほぼ真ん中あたりに左右対称に存在するリンゴの種ほどの小さな部位です。この側坐核の神経細胞が活動すると、海馬と前頭前野に信号を送り、「やる気」が出て、脳の調子が上がっていきます。しかし、側坐核の神経細胞は、「ある程度の強さ」の刺激がこないと活動を始めません。その必要時間はたったの5分です。
側坐核は脳の「やる気」スイッチです。「とりあえず作業を始める」ことで、やる気スイッチがオンになって、側坐核が自己興奮して本格的な「やる気」が出るのです。
ですから、やる気を出したいときは、「まず始める」しかないのです。「やるぞ!」と宣言して、簡単な作業からスタート。まず、5分だけがんばりましょう。
まず始める
↓
側坐核の興奮(やる気スイッチON)
↓
やる気↑(アップ)
まずは机の前に5分座ろう。やる気はあとからついてくる。
引用文献『学びを結果に変える アウトプット大全』(樺沢紫苑著 サンクチュアリ出版)