再新再生のシナジー(スティーブン・R・コヴィー)

 バランスのとれた新再生そのものが、シナジーを創り出す。四つの側面は密接な相関関係にあるから、どれか一つの側面の刃を研げば、他の側面に良い影響を与える。肉体の健康は精神の健康に影響し、精神の強さは社会・情緒的な強さに影響する。一つの側面の刃が鋭くなれば、他の三つの側面の刃も鋭くなる。

「7つの習慣」によって四つの側面のシナジーが創り出される。四つの側面のどれか一つの刃を研ぐと、「7つの習慣」のうち少なくとも一つを実践する能力が高まる。習慣には順番があるとはいえ、どれか一つの習慣が改善されると、シナジー的に他の六つの習慣を実践する力も高まっていくのである。

(中略)

 肉体的側面を再新再生する活動は、あなたの自信を強くし、自覚と意志、主体性を向上させる(第1の習慣)。周りの環境から影響を受けるのではなく、自分から働きかけること、どんな刺激に対しても反応を自分で選択することで、主体的に行動できるようになるのだ。おそらくこれが、定期的に運動して肉体的側面の刃を研ぐ最大のメリットだろう。毎日の私的成功の一つひとつが、心の安定口座への預け入れになるのである。

 精神的側面を再新再生する活動は、あなたのパーソナル・リーダーシップを育てる(第2の習慣)。記憶だけに頼らず、想像力を働かせ、良心に従って生きる能力が向上するのである。あなたの内面の奥底にあるパラダイムと価値観を深く理解し、正しい原則を内面の中心に据え、自分の人生のミッションを明らかにし、正しい原則と一致した生活を送れるように人生の脚本を書き直し、内面の強さの根源を生かして生きていけるようになる。精神の再新再生によって私生活が豊かになることも、心の安定口座への預け入れになる。

 知的側面を再新再生する活動は、あなたのパーソナル・マネジメント能力を高める(第3の習慣)。一週間なり一日なりの計画を立てることで、波及効果の高い第Ⅱ領域の活動に意識が向き、優先すべき目標、自分の時間と労力を投じるべき活動をはっきりと認識し、優先順位に従って活動を計画し実行できるようになる。継続的に自己研鑽を行うことによって、知識が豊かになり、選択肢が広がっていく。個人の経済的安定は仕事や社会からもたらされるのではなく、自らの生産能力――自分で考え、学び、創造し、変化に対応する力—―から得られる。それが本当の意味での経済的自立である。経済的自立とは富を持つことではなく、富を生み出す能力を持つことであり、その能力は自分自身の内面で育てるべきものなのだ。

 毎日の私的成功は、「7つの習慣」を身につけ実践する鍵である。毎日少なくとも一時間、肉体、精神、知性の刃を研ぎ、日々の私的成功を重ねていくことは、あなたの影響の輪の中でできる努力である。この毎日の一時間は、「7つの習慣」を生活に根づかせ、原則中心の生き方をするために必要な第Ⅱ領域の活動の投資する時間なのである。

 また、毎日の私的成功は「毎日の公的成功」の土台にもなる。内面がぐらつかず安定していてこそ、社会・情緒的側面の刃を研ぐことができるからである。毎日の私的成功の土台があれば、相互依存の社会において自分影響の輪に力を注ぐことができ、豊かさのマインドのパラダイムを通して他者を見られるようになり、自分と他者の違いを尊重し、他者の成功を心から喜べるようになり、他者を本気で理解してシナジーを創り出し、Win‐Winの解決策を見つける努力ができるようになり、相互依存の現実の中で第4、第5、第6の習慣を実践する土台ができるのである。

引用文献『完訳 7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著 キングベア―出版) 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次