リスニング中心で英語をマスターするのは膨大な時間がかかるといいましたが、たとえ長時間のリスニングによるインプットを得たとしても、必ず英語が上達する保証はありません。15年ほど前の話ですが、第二次世界大戦直後にアメリカ人と結婚してアメリカに移住した、ある日本人女性と英語で話をしたことがあります。
何十年間もアメリカに住んでいたはずなのに、彼女の英語はお粗末なものでした。
彼女はいつも多くの日本人に囲まれていたので、日本語で用が足りてしまっていたことも大きな理由のひとつでしょう。
しかし、それだけが理由ではありませんでした。彼女は「ただ受動的に聞いてさえいれば、英語が自分のものになる」と考えていたのです。その間違いを彼女に指摘してあげたところ、彼女の英語力は飛躍的に向上しはじめ、いまではかなりのレベルに達しています。
つまり、英語をインプットするに際しては、「積極的」に頭を働かせないと実力は上がらないのです。
リスニングをするのであれば、その後の内容をメモにまとめたり、聞き取れたフレーズを書き出したりして頭を働かせてください。
(中略)
英語をちゃんと読めるようになったら、間違いなくうまく話せるようになります。
「読めるけど話せない」と言う人もいますが、おそらくそういう人は、英語を正確に読めていないのではないかと思います。
自分の気に入った素材であればどんなものでも構わないので、とにかくリーディングによるインプットを蓄積していきましょう。
「リーディングは退屈だから、好きじゃない」という人が結構いるようです。その感覚もわかります。でも、じつはスピード感のあるリーディングができるようになると、読むことが「快感」に変わっていきます。
大切なのは読む速度なのです。たとえトピックがどんなに面白くても、ゆっくりしか読めなければ、どうしても退屈に感じてしまうものです。
引用文献『最低限の単語力でもてっとりばやく英語が話せる 日本人1万人を教えてわかったすぐに話せる50の方法』(デイビッド・セイン著 ダイヤモンド社)