国語ができるかできないかは、声を出して本を読ませる(音読)と、すぐにわかります。
本がすらすら読める子は、国語の力を持っている子です。
音読が上手か下手かで、国語の力が決まると言っても過言ではありません。
拾い読みしかできない子は、たいへん問題です。言葉をとらえることができないので、書いてある内容が理解できないのです。こうなると、国語だけの問題ではなくなり、他の教科でも確実に遅れてきます。
拾い読みしかできない子は、一年生のクラスで、だいたい一割強います。
その一割強の子どもに共通するのは、母親が小さい頃に本を読んでやったり、お話を聞かせたりしていない子が多いということです。つまり、子どもなら誰でも知っているであろう昔話のたぐいを知らない子です。その意味で、国語の力は小学校にあがる前に、ある程度は決まっているともいえるわけです。
とはいえ、いまからでも遅くありません。
拾い読みしかできないなら、お母さんが、子どもに毎日、本の読み聞かせをしてあげることをお勧めします(その方法については、次のところで詳しく書いています)。
また、低学年で国語の学習につまずいているなら、音読の練習をさせるのがもっとも効果的です。
その際には、
- 教科書にこだわらず、自分の好きな本を選ばせること
- 音読したら、必ずほめてあげること
の二点がポイントです。
ほめる場合は、「声が大きかった」「間違えずに読めた」「ちゃんと区切って、わかりやすく読めた」「出てくる人の気持ちになって読めた」など、いいところを一つ見つけて、子どもに言うことです。
それが、子どもの意欲をめきめき育てることになります。また、音読を上手にさせるコツにもつながるのです。
三十分間、本に向かえる子は、必ず伸びる
本を読むことが好きな子は、たとえ国語のテストが悪くても、国語の力を持っています。将来、伸びる力がある子といえます。
わかりやすくいえば、三十分間、本に向かえるのなら心配はありません。
三十分間、本に向かえるというのは、
- 本をすらすら読める
- 精神的安定がある
- 持続力がある
- 集中力がある
ということが、いえるからです。
本が嫌いな子に読書の習慣をつけたいのなら、低学年なら母親が読み聞かせをするのが、いちばんです。
どんな本でもかまいません。小学生にはレベルが低いと思われる本でも、子どもがそれを好むならそれでもいいのです。また、同じ本を何回も繰り返し読んであげても、けっこうです。小学校三年生程度までなら、この方法がいちばん効果的でしょう。
母親が、読み聞かせをすることは、子どもに自転車の乗り方を教えるのに、よく似ています。初めはお母さんが自転車の後ろを押してやる――これが「読み聞かせ」に相当するのです。
子どもは、母親が本を読んでやるリズム、口調に慣れることで、自分で読むとっかかりをつくります。
ですから、何度も読んであげて、リズムや口調を子どもの頭の中にしみこませることです。
朗読のカセットテープも市販されています。もちろん、聞かせないより聞かせるにこしたことはありませんが、お母さんの読み聞かせの10分の1程度の効果しかありません。母親の読み聞かせに、まさるものはないのです。読み聞かせは、子どもがイヤがるようになるまで続けることをお勧めします。
読み聞かせをいやがる高学年の子どもに対しては、寄席のカセットを聞かせるなどの方法もあります。特に男の子なら、喜んで聞くのではないでしょうか。
また、「うちの子はマンガしか読みません」と嘆くお母さんがいらっしゃいますが、本嫌いの子どもならマンガも読みません。
マンガでも読んでいるのなら、それはそれでけっこうなことだと思います。
引用文献『どんな子だって勉強できる子になれる!』(向山洋一著 PHP研究所)