勉強する前に“勉強法”を勉強する(和田秀樹)

 学校の教師や予備校講師は、“教科のプロ”として教科書やテキストの内容を教えてくれる。それが彼らの仕事だ。

 教わった内容を「理解する」「覚える」「定着させる」のは、キミたち自身に与えられた“仕事”だ。

 そのやり方がうまいかへたかで、結果に差が出る。

 できれば最初から“うまいやり方”を知っておいたほうがいい。そうすれば、迷わずに勉強に専念できる。

 しかし、考えてみればキミたちは、これまでに“上手な勉強のやり方”を誰からも教わってこなかったのではないか。

 参考書の使い方、ノートのとり方、暗記のやり方など、自己流でやってきた人がほとんどだろう。

 それで結果が出ているうちは問題ないが、そのうちカベに突き当たる。そこで迷いが生じる。

“学校の勉強”と“受験勉強”は違う。

「これから受験勉強を頑張ろう」という気になった人は、まずは勉強法”について勉強することを勧めたい。

 勉強の中身(コンテンツ)より先に、勉強のやり方(ノウハウ)を研究してみるのだ。

 ちょっと大きな書店の参考書コーナーに行くと、合格体験記や勉強のノウハウ本をまとめた場所がある。私が書いた受験戦術書もそこに並んでいるだろう。

 立ち読みするもよし、気に入った本を買って帰るもよし。

 いろいろある勉強法のなかから、「これなら納得できる」「自分に向いていそう」と思えるものを選択する。

「どうやればいいか」わからないまま、手さぐりで自己流のまま勉強を始めると、たいてい途中で行き詰まって迷う。

 だったら、最初から迷いを断ち切った状態からスタートするほうが賢明だ。

ネット掲示板の“不確定情報”に惑わされないように

ネット掲示板にも“勉強法”のジャンルがあり、いろいろな書き込みで賑わっている。それを参考にしてもよいが、基本的に匿名情報は信頼性に欠けるので、特に受験勉強の“初心者”は振りまわされないように注意。

「何が理解できていないのか」をチェックする

 勉強の方針、やり方を考えるときに重要なのは、「今現在の自分の状態」を客観的に把握することだ。それがよくわからないから迷いや不安が生じる。

 そこで、「自分が何を理解できていて、何を理解できていないのか」をハッキリさせる。

 たとえば、英語の教科書を開いて意味のわからない単語に(かた)(ぱし)から線を引く。それを「新出単語」と「既習単語」に分類してみる。

 もし、「既習単語」の数が「新出単語」より多ければ、それが原因で英語の勉強がうまく進まないことが考えられる。

 さらに、「すでに習った単語」がいつごろ習ったものかを調べる。その多くが中学レベルの単語であれば、中学にさかのぼって基本単語を覚え直す必要がある。

 受験勉強は、みんなが同じスタートラインに立って「よーいドン」で始めるものではない。スタートラインもバラバラならゴールとなる志望校もバラバラだ。

 当然、人によって「何をどのように」勉強するかの計画や勉強法も違ってくる。

 まずは自分の“スタート地点”を知らないことには、受験勉強は始められない。そのために、「理解できないこと、できること」をチェックしていく。

 その作業を通して、「自分がどの地点からつまずいたのか」が見えてくる。それは中学3年からもしれないし、高校1年の前半からかもしれない。

 つまずいた地点を特定したら、いったんそこまで戻り、過去の“穴”を埋めることから受験勉強をスタートさせる。

 スタート地点がわかれば、この先「何をどう進めていけばいいか」も見えてくる。迷いや不安は消えているだろう。

中学時代の教科書や参考書をもう一度チェック!

 数学や英語の授業がよく理解できない人は、中学の学習内容に“穴”があるケースが圧倒的に多い。まずは、中学レベルの学習内容がきちんと理解できているか、当時の教科書や参考書でチェックしてみよう。

引用文献『和田式 勉強のやる気をつくる本 やれない自分を変えるちょっとしたアイデア75』

(和田秀樹著 学研教育出版)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次