「あきらめる」ことがいいとき、悪いとき(アンジェラ・ダックワース著)

 では、「やり抜く力」はどうすれば強くなるのだろうか?

 私のもとには、もっと「やり抜く力」を強くしたいと願う人びとから、毎日のようにメールや手紙が届く。「根性がなくて、なにをやっても上達しない」と嘆く人もいれば、「才能をムダにしてきた」と思っている人もいる。誰もが「長期的な目標を持ちたい。その目標に向かって、情熱をもって粘り強く努力したい」と心から願っている。

 しかし、まずなにから始めればよいかがわからないのだ。

 それにはまず、いまの自分の「やり抜く力」の強さのレベルを認識することだ。自分が望んでいるほど「やり抜く力」が強くない場合は、なぜだろう、と理由を考えてみよう。

 おそらく、こんな答えが浮かんでくるにちがいない。

「怠け者だから」

「ちゃらんぽらんだから」

「あきっぽいから」

 しかし、私はどれも不正解だと思う。もちろん、私たちがなにかをやめるときには理由がある。だとしても、べつの理由でやめるのだ。なにかをやめようと思うときには、つぎの4つのうちのどれかが頭に浮かぶのではないだろうか。

「つまらない」

「そんなにがんばる価値はない」

「自分にとって重要ではない」

「どうせムリだから、もうやめたほうがいい」

 このような考え方は、道徳的に悪いわけでも何でもない。「やり抜く力」の鉄人たちも、目標をあきらめることはある。ただし、重要度の高い目標ならば、歯を食いしばってでも、最後までやり遂げようとする。

 いちばん重要なことは、「やり抜く力」の鉄人たちは「コンパス」を替えないことだ。彼らにはたったひとつの究極の目標があり、ほぼすべての行動がその目標達成に向けられている。だから究極の目標に関しては、そんな投げやりな言葉は口にしない。

引用文献『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著 神崎朗子訳)ダイヤモンド社

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