では、「やり抜く力」はどうすれば強くなるのだろうか?
私のもとには、もっと「やり抜く力」を強くしたいと願う人びとから、毎日のようにメールや手紙が届く。「根性がなくて、なにをやっても上達しない」と嘆く人もいれば、「才能をムダにしてきた」と思っている人もいる。誰もが「長期的な目標を持ちたい。その目標に向かって、情熱をもって粘り強く努力したい」と心から願っている。
しかし、まずなにから始めればよいかがわからないのだ。
それにはまず、いまの自分の「やり抜く力」の強さのレベルを認識することだ。自分が望んでいるほど「やり抜く力」が強くない場合は、なぜだろう、と理由を考えてみよう。
おそらく、こんな答えが浮かんでくるにちがいない。
「怠け者だから」
「ちゃらんぽらんだから」
「あきっぽいから」
しかし、私はどれも不正解だと思う。もちろん、私たちがなにかをやめるときには理由がある。だとしても、べつの理由でやめるのだ。なにかをやめようと思うときには、つぎの4つのうちのどれかが頭に浮かぶのではないだろうか。
「つまらない」
「そんなにがんばる価値はない」
「自分にとって重要ではない」
「どうせムリだから、もうやめたほうがいい」
このような考え方は、道徳的に悪いわけでも何でもない。「やり抜く力」の鉄人たちも、目標をあきらめることはある。ただし、重要度の高い目標ならば、歯を食いしばってでも、最後までやり遂げようとする。
いちばん重要なことは、「やり抜く力」の鉄人たちは「コンパス」を替えないことだ。彼らにはたったひとつの究極の目標があり、ほぼすべての行動がその目標達成に向けられている。だから究極の目標に関しては、そんな投げやりな言葉は口にしない。
引用文献『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著 神崎朗子訳)ダイヤモンド社