【受験脳の作り方】学習とは反復の訓練(池谷裕二)

 古来、「学習とは反復の訓練である」と言われてきたのは、脳科学の立場からもまったくその通りだと言えます。

 だから、学習したことを忘れてしまったとしても、いちいち落ち込んだり、気にしたりしてはいけません。また必要になったときに、もう一度覚え直せばいいのです。そうして覚えたものを、やはりまた忘れてしまったとしても、それでもヘコタレずにまた覚え直しましょう。そんな具合に、何度も繰り返し覚え直しているうちに、脳はその知識を記憶に留めるようになるでしょう。

 しかし、そうして苦労してやっとモノにした知識を、またも忘れてしまったら、どうしたらよいでしょうか。何度も努力して、ようやく覚えたのに……。

 答えは同じです。やはり、また覚え直せばいいのです。こればかりは仕方がないのです。脳は、できるだけ早く多くのことを忘れるように設計されているのですから。

 つまり、成績がよい人は、忘れても忘れてもめげずに、海馬に繰り返し繰り返し情報を送り続けている努力家だと言えます。

(中略)

 でも、どうしても記憶に残さなければ入試に落ちてしまうというのなら、解決策はただひとつ、繰り返し復習して「脳をダマす」しかないのです。これが大原則です。

引用文献『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法』(池谷裕二著 新潮文庫)

池谷裕二(いけがや・ゆうじ)…東京大学大学院薬学系研究科・教授

注1)海馬(かいば)…耳の奥の方に位置している脳の一部位。海馬では、情報の必要、不必要を判断している。情報が海馬で必要と判断されると大脳皮質(長期記憶の保存場所)にその情報を送り、長期保存される。

注2)「脳をダマす」…繰り返しの復習で海馬に必要な情報だと思い込ませること。

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