学校で勉強する科目のなかでも、英語と数学と国語は「特別な3教科」と位置づけられています。
私は昔から、なぜこの3教科が特別扱いなのか、疑問に思っていました。そして、大人になって自分に子供が生まれ、その子どもの将来にどんな言語が必要だろうかと考えるようになったとき、あることに気づいたのです。
そうか、英語・数学・国語はみんな「言語」、つまり「言葉」じゃないか!
英語や国語はともかく、数学が言葉といわれても、首をかしげてしまうかもしれません。でも、それは科学の世界では当たり前のことなのです。
たとえば、物理学で使われる「言語」は、すべて数式です。宇宙はどんな形をしていて、どんなふうに曲がっているのか。ブラックホールはどうなっているのか。宇宙の果てに行くにはどうしたらいいのか。そういうことを、すべて数学の言葉で論じているのです。
化学や生物学でもそうです。生物学では、生物の細胞内での遺伝情報となるDNA(デオキシリボ核酸)の「暗号」を解読する研究が進められています。それをコンピュータ上で行なう際に使われる記号も、じつは数学です。
さらには、経済学でも数学という「言葉」が使われています。経済学の教科書に書かれている金融の重要な方程式や難しい経済理論などは、まさに数式の世界です。
数学は、自然や社会を論述するときに、物理学や経済学などで使用される言語=言葉なのです。
物事を表現したり、理解したりするには言葉が必要です。何かを勉強するには、まず言葉を知っておかなければなりません。英数国が特別なのは、それらがほかのすべての科目を勉強するために必要な言葉だからです。
この三つの言語をマスターすることは、いろいろなことを深く学ぶための道具を手に入れるということです。
ポイント 英国数はすべての科目を学ぶための道具。
引用文献『学年ビリから東大へ進み、作家になった私の勉強法』(竹内薫著 PHP研究所)