僕の兄は、東京で一番偏差値の高い私立K中学校に通っていました。僕は兄ほど頭がよいわけではなかったので、中学受験ではそこは不合格。「うらやましい!」と思って、兄にいろいろ教えてもらっていました。
「K中学の頭のいい人って、テスト前にどんな勉強をしているの?」
すると、兄は興味深いことを話してくれました。
「章弘、120分勉強するとき、どうする?」
「ノート見て覚えるよ」
「それじゃだめだ。K中学のできる人は、10分で覚えて、110分で解くんだ」
「すごいな、10分で覚えられるなんて。さすがK中だね」
「違うんだ、章弘。まず短い時間を設定することが大事なんだ。無理やり覚えようとしても覚えられないものは、110分かけて、解きながら覚えるんだ」
これには、中学生ながら衝撃を受けました。大人になった今考えても、このやり方は効率がいい。
理科や社会など、覚えることが多い教科であっても、覚えたりノートをまとめたりする「インプット」よりも、覚えた知識を使う「アウトプット」に時間を使ったほうが、成績は伸びます。
副教材として問題集がついていない教科もあるかもしれません。その場合は、ノートやプリントを、自分でできる限りテスト形式に変えましょう。
予想問題を考えるのです。作成者の視点に立つことができますし、友達と出し合って解き合えば、お互いの考えを共有できていいですよ。
さらに、ゲーム感覚になって楽しく続けられます。
大事なのは、インプットよりアウトプット
仕上げ! 「解ける」から「速く解ける」に
前項で「覚える」ことより「解く」ことのほうが大切であることがわかってもらえたと思います。さらに大切なのは解き方です。解くときは、必ず時間を計ってもらいたいのです。
理由は2つあります。1つは、テストは時間との戦いだからです。そもそも、テストはただ「解けるかどうか」ではなく、「制限時間内に解けるかどうか」を測定するものです。時間のプレッシャーと戦う癖をつけておくことで、本番での実戦力を身につけることができます。
2つ目は、時間配分が上手になるからです。問題を解くときにタイマーやストップウォッチで時計を計っておけば、本番で「あ、この問題は○分くらいかかるな」という計算ができますよね。「じゃあ、◯時○分までに、ここまで終わらせておこう」と見積もることができます。この「段取り力」こそが「時間配分力」なのです。
時間を計りながら問題演習をし、解ける問題が増えていったら、最後は仕上げです。「解ける」から「速く解ける」に変えていきましょう。最初に解くのにかかった時間をメモしておけば「よし、半分の時間で解いてみよう」と挑戦することができます。
このやり方は、数学がイメージしやすいと思いますが、英語のテスト勉強にも応用できます。たとえば、英単語を思い出すスピードを速くしたり、教科書を音読するスピードを速くしたりするのです。
「スピードを速くして解くんだ」という意識を持つだけで、テスト本番で発揮できる力が、格段にアップしますよ。
問題を解くときはタイマーを使おう
引用文献『[清水式]定期テストで結果を出す50の習慣』(清水章弘著 PHP研究所)