数学は、ものの本質をとらえて抜き出す言語(竹内薫)

 数学は英語と同じで、いわば「第一外国語」の位置づけです。つまり、国語の次に必要なものとして、英語と同格の位置にあります。

 ですから、アメリカ人の科学者にとっての数学も、「第一外国語」だといえます。英語が思考言語で、科学に関するコミュニケーション用の言語として使っているのが数学、ということです。

 日本で数学という言語を本格的に学ぶのは、中学生からです。小学校の算数は、いうなれば国語の領域です。「100円で90円の買い物をしたら、おつりが10円でした」というふうに、国語のなかに数字が()()まれていて、その数字の使われ方を学ぶのが算数です。

 (じゅん)(すい)な言語としての数学は、中学校から始まります。同時に、それを境に勉強についていけなくなる人が多くなるのも事実です。

 なぜなら、いきなり(ちゅう)(しょう)()が上がるからです。2次方程式とか、最大値・最小値を求めよとか、具体的なものの数という世界から(はな)れて、一気に(ちゅう)(しょう)(てき)な階段を上がっていきます。それにとまどいを覚えるのだと思います。

 しかし、それこそが数学の()(りょく)でもあります。(ちゅう)(しょう)()とは「ものの本質をとらえる」ことなのです。 

 宇宙の本質をとらえると、「アインシュタイン方程式」が導き出されます。

 (きん)(ゆう)の本質をとらえると、やはり難しい方程式が現れます。

 社会や宇宙、自然界の本質を()き出してくることが(ちゅう)(しょう)()で、それが数式になるのです。

 ただ、すでにお話したように、いまは数学単体ではなく、プログラミングと(いっ)(しょ)に「計算科学言語」として学ぶ必要があります

 50年前の数学者は、紙と鉛筆(えんぴつ)があれば(かつ)(やく)できました。でも、いまはすべてコンピュータで計算します。数学者が頭で考えたものを、コンピュータで大量かつ高速に計算させる時代です。ですから必然的に、プログラミングの能力が欠かせないということになります。

ポイント (ちゅう)(しょう)()することが数学の最大の()(りょく)

引用文献『学年ビリから東大へ進み、作家になった私の勉強法』(竹内薫著 PHP研究所)

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